電気主任のお仕事

工場で電気主任技術者をしています

電験三種の有能コンテンツ(無料)を紹介

勉強する中でネットでの情報は時として非常に有用となりますが、情報量が膨大で的確に取捨選択をできる人は多くはないです。

そこで、本記事では電験三種を勉強する際に非常に参考になるWebサイトを選りすぐりで紹介し、電験三種受験者の迷いを少しでも減らさればと思います。

紹介先は敬称略とさせていただきます。
全て無料です。

問題解説

電験三種まとめました

yaku-tik.com

重要事項のまとめと過去問解説が丁寧に記載されています。
自宅で学習するときはもちろん、外出先でも手軽に見られるのは大きいですね。
自分が受験するときに知っておきたかったサイトの一つです。

電験

denken-ou.com

こちらも過去問解説が丁寧に記載されたサイトになります。
三種だけでなく二種一種の問題も掲載されているため、応用力の向上やステップアップも見据えての勉強が可能です。
管理人も二種一種受験の際は大変お世話になりました。

・やさしい電気回路

hegtel.com

理論限定になりますが、このサイトの特に素晴らしいのが身近な電化製品の原理から丁寧な解説があることです。理論で抑えておきたい法則もほぼ全て網羅されており、これから電験三種の勉強を始める方はぜひ見ておきたいサイトの一つです。

講義解説

電験合格 - YouTube

www.youtube.com

4科目全ての解説が掲載されています。
有料コンテンツのクオリティを無料(広告無し)で公開する投稿者の器の大きさに敬服です。
参考書で分からない点は一度講義を受けるのをおすすめします。

・Learn Engineering - YouTube

  www.youtube.com   www.youtube.com

電力機械科目の勉強をする際に発電機・モータの動きをイメージしづらいのは誰もが通る道だと思います。Learn Engineeringでは3DCGを用いて原理と動きを動画で解説していますので、ギャップを埋めるのに最適だと思います。特に電気の現場に携わってない人は見ることをおすすめします。

日本語版は本家英語版を有志の方が翻訳した内容となります。翻訳は全て完了しているわけではないので、必要に応じて英語版を見る必要もあります。(英語が分からなくてもなんとなく理解できるはずです)

・音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会

  www.jeea.or.jp

こちらは音声形式です。
どちらかというと少し上級者(電験二種以上向け)や現場寄りのコンテンツも含まれているため、三種の勉強をする目的よりは、検索でヒットしたら信用して参考にできるサイトとして活用できます。

経歴を振り返る

2024/04/13  ブログ移行を機に少し文書を修正し更新。

2022/07/03  30歳になって記事を新規作成。

1社目

 大学の推薦で通信業の電気設備を管理する会社へ入社。元々の人生計画は、「安定した収入と転勤が少なくホワイトな会社でのらりくらり生きていこう」という考えであり、ある程度知名度があり安定した会社だったのが入社の決め手。採用は全国採用とブロック採用で別れており、自分はブロック採用を選んだ。しかし、このときの見積が甘かったのが1社目と決別する最大の決め手となる。(元々全国採用であったならば今も在籍していたかと思うが、低学歴の自分であればまず採用されなかったかと思う)特段会社を否定するつもりは全く無く、優秀な方々が多く在籍している中で、お世話になった関係者は数知れず。本当に感謝しかない。

電気保全

 電気保全として約5年ほど在籍するうちの1回目。仕事内容は通信設備に供給する受配電設備や非常用発電機、その他電源装置の維持管理。自分が担当していた地域は約30拠点ほどあり、そのほとんどは6600V受電で100kW~2000kW程度の需要設備である。統括制度で電気主任技術者の維持管理をしていて、監視体制も超充実しているおかげか、3か月に1回の巡視点検、3年に1回の年次停電点検が基本。その中で年10か所ほどの停電作業を計画し、遂行するのが主な仕事。また、設備1つ1つに伝送機能を持っており、監視センタの集中管理と協力して、故障の応急対応、本復旧を行っていた。工事管理も任されることがあり、受配電更新は徹夜することもあった。

 配属されて早々に停電作業を計画しろと言われたのは今でも鮮明に覚えている。入社してすぐの設備を知らない自分に作業内容やスケジューリングが分かる訳ない。そこで、過去の資料から設備概要や作業の根拠、社内ルールを調べることに時間をかけ、吸収することに徹した。当時関わって頂いた上司が優秀だったので、疑問質問を投げかけやすい環境だったのも運が良かったかと思う。迷惑をかけながらも、無事に事故もなく完遂できた。停電制約も非常に厳しい環境で失敗すると重過失になりかねないので、電気の供給が会社の生産活動に直結するということを身を持って体得し、転職した今でも大事にしている。

 会社が電験3種の資格を重要視しており、毎度プレッシャーをかけられていたのも覚えている。そもそもこの資格を取得しないといくら仕事を頑張っても昇級できないと言われていたため、仕事外の自己研鑽はここから始まったと思う。飲み以外の仕事帰りは毎日1時間カフェで勉強したのは懐かしい。1年目で理論電力、2年目で機械法規を科目合格し、無事に資格取得できた。仕事に直結する内容が多くあり、結局仕事を円滑に進めるためには前提の基礎知識をしっかり培うことが大事だと学んだ。

電気設計

 電気保全の期間中、OJTや応援という形で計1年ほど電気設計に駆り出された。長い期間在籍した訳ではないので、スポットでできる直流電源装置・蓄電池の新設更新撤去を任されつつ、たまに先輩方の支援で配電盤や非常用発電機の更新を手伝った記憶がある。

 まず大変だったのはどの拠点も更新スペースがないこと。スペースが無い中で将来構想があって保全が苦労しないレイアウトにしないといけない。上司とかなり練った記憶がある。方法論をたくさん得たが、一番は自分の視野の狭さをメタ認知し、報連相を徹底することが重要だと知った。

 予算や期間もある中で無駄なことをせず、仕事の最適化も求められた。標準化が徹底している会社だったので、基本設計の手法は基本一律であるが、容量計算等バックデータの準備や詳細仕様調整は地域や担当者で様々だったのは覚えている。同じ設計者でもできるできないの差はここで生まれていたが、私個人としては同じ部署で差が生まれるのは好ましくないと思い、既存の計算書を見やすく幅広く簡単に使えるように変更し、可能な限り自動化を組み込み、周囲への共有を心掛けた。そのうえで最終的に行きつく先は、泥臭くやるべきタスクをを一つ一つ確実に消化することが何より重要と感じた。タスクをサボるとどこかでボロが出て結局設計変更になり、多大な時間を要する。それを間近で経験したことはいい体験だった。設計だけではなく、どの仕事でも通じる話であり、今の自分の礎かもしれない。

電気保全2

 電気保全として約5年ほど在籍するうちの2回目。設計も覚えて粗方の設備も覚えてきて一番油が乗っていた時期かと思う。人の入れ替えが激しい会社だったため、3年目頃から年間計画の立案を任され、上司に頼らずともほぼ仕事をこなせるようになった。

 統括性のもと電気主任技術者(一般的な表現では「担当技術者」)として、10箇所ほど選任された。現場に加えて事務作業も膨大に増えた。当たり前だが電気事業法は自主保安で保安規程に則った点検を実施しないといけないので、品質管理に苦慮した。点検者だけでなく選任外の主任技術者の確認品質に濃淡があるため、部署として水準を保つために選任以外の拠点もほとんど管理し、年1の社内監査に備えた。後に県域全体も管理するようになったので、部署内でしっかり磨き上げられたのは本当に良かったと思う。
 他の資格業務としては、3年目にエネルギー管理士(電気)を合格し、省エネ法上の報告業務も行った。自分の担当は電気買電のみの拠点だったので、他所と比べると熱蒸気等の記載は無く、比較的容易で基本を抑えやすかった。

 部署が絶え間なく活動するにあたって後進の育成も重要だと感じた時期でもある。教えるためにはそもそも自分が知識を増やしていかないといけないので絶えず勉強を続け、そのアウトプットを後輩にも簡潔に説明することを心掛けた。アウトプットすることにより、自分のスキルを更に磨くいい機会でもあったが、同時に失敗した経験として「教えすぎることは良くない」という教訓がある。経験上、アウトプットのしすぎで却って後輩の自分で考える・調べるという行為を放棄させてしまい、指示待ち人間へ誘う反面がよくあった。教える立場とは、その人間の人生も左右する重要な要素を多少なりとも握っており、会社の責任より重いかもしれない。そのようなリスクを孕んでいることを決して忘れることはないと誓った。

 この頃は結婚して子供も生まれたため、今後の自分の人生を考える転機だった。自分を過大評価するわけではないが、会社の中では常に最高の査定評価をもらっており、社内の技能大会では先輩と優勝もした。そういう過程の中で元々の入社きっかけである「安定した収入と転勤が少なくホワイトな会社でのらりくらり生きていこう」という価値観が徐々に崩れ出していた。ブロック採用であったこともあり、自分のスキルに対して給料が割に合ってないと感じ始めていた。一人暮らしであれば生活に困らない収入であったが、子供を養うとなると話は別。では自分のスキルに対して多くの対価を貰うためにはどうすればよいか。結果、転職市場で自分の価値を測ってもらうことが一番だと思い、転職サイトに登録して転職活動を並行して始めた。同時に県域全体の電気保全を統括する部署へ異動となる上に、共働きで子供を保育園に預け出したことで忙しさが頂点を極めた時期でもあった。

県域電気保全統括

 OJTも含めて約6か月程度しか経験していないが、今の自分の仕事と似たところが多々あり、もっと早めに経験しておけばよかったと未だに思う。書けることは少ないが以下にざっくりと行った業務を羅列する。

  • メーカや協力会社への定期点検を一括発注、予算管理(会社の特性上、事業場数が膨大なため包括的に実施)
  • 予算確保に当たり、営業がやるような親会社への見積書作成や契約処理、稟議資料の作成 
  • 重大トラブル発生時の連絡体制を確立、統制
  • 電気事業法や省エネ法を県域全体で統括

 短い期間の割には色々と経験できて本当に良かった。欲を言えばもう1年早く在籍して、業務をブラッシュアップできればという悔いは残っている。自分が会社を辞める時は、急遽異動してきた優秀な後輩に仕事を割り振ったが、在籍も短いので中途半端な引継ぎをしてしまったのは苦い思い出である。

転職活動

 転職サイトは自分の履歴書や経歴書を書くのに一苦労するが、様々な会社を俯瞰できるのは意外と楽しい。自分の経験や資格を転職サイトに登録し、電気設備管理で地元に近い企業を希望するとすぐさまエージェントから電話があり求人を紹介された。

 何社か選考を通ったが年収は+100万~150万を希望していたので、条件面でお断りもした企業もある。そうやっているうちに地元付近に希望する条件の企業がないことに気付き、エリアを全国に広げて求人を紹介してもらった。今宵ネットで娯楽は溢れており、飛行機や新幹線で帰省に多大な時間を要することも少ないので地元に拘る必要はないと考えた結果である。(転職後、コロナウィルスが感染拡大したが、特に不便に感じることも無く、どこでも住んでいけるなぁと自分の考えの答え合わせができた)その後、条件に合致する企業が増えて応募し選考通過、家族の了承も得て決意を固めた。

 当時の直属上長に会社を辞めることを伝えたときはがっかりされたのを覚えている。しかし、同時に応援もしてくれて改めて尊敬の念を抱いた。無理に引き留めようとしてくる幹部もいたが、「替えはいるだろう」と伝えて振り切った。それぐらい意志は強い方がいい。結局誰かが抜ける部分は誰かがカバーするという会社の構造はいつの時代も普遍的であり、近年の転職市場で流動性が高まっても同じである。だから、仕事仲間への思いは残しても会社への情は一切捨てた。

 転職活動を振り返ると、転職市場で更に価値が高くなる第2種電気主任技術者に合格してからもっと時間をかけて企業分析をしてもいいかなと思ったが、仕事をする上では資格よりも経験や実績を積むことが大切だと思うので、早めの決断をして正解だったかと思う。

2社目

 前職を活かして2社目も電気設備管理ができる会社に入社。違う点としては通信業ではなく、製造業となった点であり、所謂工場の管理となった。会社特有のルールやフォーマットに慣れるのに多少時間はかかったが、電気設備を管理するという点は同じであり、周囲の人間にも恵まれてあっという間に馴染めた。

 転職してきた身なので一層努力しないといけないと思い、1年目に第二種電気主任技術者、2年目に第一種電気主任技術者を取得した。毎日の自己研鑽を欠かさず行ったのが功を奏した。一種に関しては正直今でもまぐれだと思っているが、この知識を活かして今後は周囲のレベルを底上げしていきたい。

 業務内容としては、発電所の管理を1年経験した後、全体統括業務、技術検討、予算立案、電気主任技術者の専任を担当して2024年4月現在も奮闘中。

電験1種をたまたま1発合格した話

去年電験2種を合格した勢いで電験1種の受験、見事に1発合格しました。
電験2種を受かったときの勉強法についてはこちらをご参照ください。

きっかけ

昨年電験2種を合格した勢いでどこまで自分の力を試せるのか気になり、勢いそのままに1種受験を申込しました。正直、電験1種を取得しても275kV、500kVに仕事上携わることは無いのですが、個人的には以下の野望を持って取得を目指しました。

  • 社内での自分の意見を通しやすくするため
  • 電気設備を新設・更新する際の技術検討時に苦労しないようにするため

要は、理論武装で仕事を楽にしようってことです。

1次試験

電験2種の合格後にそのままの勢いで電験1種の過去問を購入し勉強を始めました。2種の勉強とやることは変わらないので期間を空けずに勉強に取り組んだ方が絶対にいいですよね。1次試験に関しては理論科目のみ各定理の成り立ちを復習し、その後1次試験1カ月前にひたすら過去問の勉強をしてました。1次試験は選択式なので答えがある程度導けます。また、2次試験の論説対策をしていればカバーできる範囲が多いので2種同様過去問で十分かと思います。(そもそも1種の参考書自体ほとんど出版されていないです)

定理の成り立ちですが、特に電磁気学が苦手だったので重点的にネットと過去問で補完しました。本当は専用の参考書があればいいのですが、手ごろなものが見当たらず、、、、こういうときに大学で使用していた教科書(全て後輩に譲渡)があればと悔いていました。大学時代にファインマン物理学で勉強していた記憶がありますので、もし手元にあったらそれを使って復習していたかと思います。

コロナ禍の中、受験自体できるかどうか怪しい状況でしたが、上司の了承も得て会場まで受けに行けました。今年は例年と比べて易化した影響もあり、4科目1発で合格できました。令和2年度は1次試験合格率が50%近くにインフレしていることからもわかる通り、極端な当たり年だったと思います。

2次試験

2次試験対策は2種合格後から継続して計算問題を中心に取り組んでいました。
2種から1種にステップアップするにあたり何が足りないのか、過去問を解いていく中で自分なりに問題を分析する中で以下2点が全くの知識不足でした。

  • 【電力管理】対称座標法(零相、正相、逆相インピーダンス値から地絡短絡電流を求める)
  • 【機械制御】現代制御(特性多項式、可制御、可観測 等)

対称座標法

対称座標法は特化した参考書を探しました。

[rakuten id="book:19058577" kw="図説 %Z法と対称座標法の入門 柴崎 誠"]

「図説 %Z法と対称座標法の入門」は対称座標法の考え方が丁寧に解説されている良書でした。ネットで対称座標法を調べても行列式と等価回路図が延々と続いているだけなので、本質的に何の役に立つのか、そもそも何が目的なのか分かりづらいかと思います。この本はそのギャップを埋めてくれたので個人的には大変助かりました。具体的に学べて良かった点は以下の通りです。

  • 要素を零相、正相、逆相に3分解する理由
  • 発電機の基本式の成り立ち
  • 対称座標法による保護リレーの整定値計算

これから1種の勉強をするけど対称座標法が全くの素人という方には強くお勧めできる参考書です。他の対称座標法の参考書と比較して入手性が大変良く、発刊されたのも2018年と情報が新しいのも素晴らしいです。

現代制御

現代制御は逆にネットに落ちている大学のレジュメを参考に過去問のパターンを覚えて対処しました。googleなどで関連ワード検索して上の方に出てきたpdfを漁るだけです。制御工学は古典制御もそうですが、電験の問題は理屈が分かってなくても計算ができれば解ける問題が多いので、合格するだけなら解き方を覚えることが大切です。個人的には未だに計算を解いた先に現物でどのように寄与しているのかあまり理解していませんので合格後の一つの課題としています。

過去問

選択肢がほとんどないので紹介するほどではないですが、過去問は以下の2冊を中心に勉強しました。

[rakuten id="book:19974566" kw="第4版 電験1種10年間模範解答集 電気書院"]
[rakuten id="book:20083731" kw="5カ年収録 電験一種・二種二次試験完全解答 OHM編集部"]

電験一種は過去問そのままの問題はほとんど出ないので、類題の予測出題の傾向を捉えながら勉強しました。時間があるときにモチベがあればまとめ記事でも作ってみます。

当日の試験について

前年度の2種受験と比較して仕事で絶対に必要な資格ではないので、プレッシャーが無い中の受験であり、調子は絶好調でした。ペットボトルコーヒーと半額セールで買った賞味期限ギリギリの菓子パンとおにぎりを鞄に詰めていざ出発、電車に揺られて1時間半で会場です。
電験1種となると周囲が高僧な人種ばかりで会場内は比較的落ち着いており、コロナ対策で会場も広く使えたので快適に受験できました。選択問題は以下の通り選択しました。

どちらの科目も時間ギリギリに全て解き終えた記憶があります。結局強化して取り組んだ対称座標法現代制御は出ませんでしたが、「備えあれば患いなし」、結果オーライです。

試験を終えた後、変圧器の効率計算の際に鉄損計算のg0V2の2条を忘れていたことに気付き終わったことを確信、答え合わせもせずにそのまま忘れていた頃に郵便ポストを空けたらでかい封筒(合格通知書)が入っていて腰を抜かしました。

合格理由の分析をすると、令和2年度は1次試験が簡単だったせいか2次試験の受験者も例年と比べて多かったので、合格率は例年並みですがボーダーラインが下がったことが寄与しているのではないかと考えました。また、問題自体も例年と比べて2種レベルの知識でも解ける問題が多かったように感じます。要は運を味方にできたってことですね。

総括

令和2年度電験一種は例年と比べて易しい問題が多かったので、中途半端な私がたまたま一発合格することができました。過去問を勉強していても半分程度しか解けない年が多かったので、運を味方にできたことが一番大きいです。また、個人的に褒めたいのは2種合格後も継続して毎日勉強していたことが良かったかと思います。ブランクを空けずに受験できたのも良かったのもそうですが、詰め込んで滅茶苦茶勉強してもなかなか受かる資格ではないですし、忘却曲線から分かるようにコツコツ頑張ることがやはり一番勉強効率が良く最短で受かるための重要な要素です。(この努力を大学受験の時に知ってればもっといい人生を送れたのかもしれませんが)

20代も終わりに差し掛かる中、今後も電気の勉強継続はもちろん仕事面でもより一層磨きをかけていきたいですね。

電験2種の勉強例とコツ

電験2種の特徴

電験2種は1次試験と2次試験があります。1次試験は4科目(理論・電力・機械・法規)をマークシートによる答案で解きます。3年以内に4科目を合格すれば突破となり、突破した年とその翌年の2回が2次試験のチャンスとなります。2次試験は2科目(電力管理・機械制御)を筆記による答案となり、難易度はかなり上がります。計算力が特に問われ、3種レベルの問題を確実にこなせる力が必要となります。そのため、よほど地頭の良い方ではない限りは3種が受かってから受験されることを勧めます。

電験2種合格への戦略について

私自身は2017年度から電験2種を受験し、2018年度、2019年度と2回2次試験に挑みました。そして無事に最後のチャンスを掴み電験2種は合格できました。2018年度も受けた際はあと1問のところで合格を逃し悔しい思いを経験したことがあったので、合格通知を見たときはかなり嬉しかったことを覚えています。まぐれかもしれませんが、私が合格までどのように勉強してきたかの一例を紹介することで他の人の役に立てれば幸いです。

1次試験の勉強

1次試験については難易度は3種と同等かそれ以下の難易度なので、3種の合格者は過去問をこなせば3年以内には突破できるかと思います。理論科目で微積要素や虚数の考えが多少深く入ってきますので、苦手な方は2種理論の参考書を買ってもよいかもしれません。細かい点気になったところは3種受験の際に用いた完全マスター4科目で補完すれば良いかと思います。

2次試験の勉強

ここからが本番になります。1次試験を終えてから初めて2次試験の勉強をするようでは絶対に間に合いません。よって1次試験の受験前から計画的に勉強していくことが大切です。大事なポイントを分けて述べていきます。

計算力が何より大切

2次試験の問題の多くは計算問題が主流です。年度によってばらつきはありますが、基本的に電力管理からは6問中3問(内選択4問回答)、機械制御は4問中4問(内選択2問回答)は計算問題です。つまり、計算問題さえしっかり解ければ合格に近づくこととなります。ではその計算力を身に着けるためにはどうすればいいかというと、問題をひたすら演習することが重要です。(センター数学で例えると青チャートみたいなところ)最初は解けなくても問題に慣れてくることで、自ずと解法が見えてきます。ただし、解法がわかっても計算を確実に解く正確性も重要です。ただ読むだけでなく、しっかり紙に書き起こして自分がどこで間違いがあるのか自己チェックをしつつ解法を身に着けていくことが良いかと思います。

出題傾向を捉える

電力管理

問題は計算問題と論説問題で半々です。その中でも計算問題は送配電系統の問題を中心に出題される傾向にあります。重要なポイントを2点あげると以下の通りです。

  • パーセントインピーダンスを用いた短絡計算
  • ベクトル図を用いた電圧降下の計算

上記は毎年必ずと言っていいほど出題され広い範囲で活用されるので、意識して問題に取り組むと良いです。特にパーセントインピーダンスの計算に関しては実務でも役に立つので演習を繰り返して身に付けておくのがベストです。

そして、上記が完璧でも電力管理は範囲が広く満遍なく出題されるため、演習を解いて知らない問題を減らすことが大切かと思います。しかし特異な問題もあるため、本番に難解な計算問題が出てきてしまったときは諦めて論説問題を解きましょう。

論説問題は満点は難しいですが、知っていれば半分程度は解ける問題が多いです。参考書を読むことも大切ですが、個人的には普段の仕事をしっかり根本から理解することが大切だと思っています。特に電験2種を目指す方のほとんどが電力系の設備管理に携わって仕事をされているかと思いますので例を出して説明します。油入変圧器のガス分析は定期的に行っているかと思いますが、ガス分析した結果にアセチレンガスが多いと寿命が近くNG判定を受けます。ではなぜアセチレンガスが多いとNGなのか、なぜアセチレンガスが発生してしまったのか、そういったなぜなぜの考えを普段から持って仕事に取組み、根本的な理解に努めることが仕事の上達に加えて論説問題の得点の鍵となります。結局、「百聞は一見に如かず」、参考書の文書で知った知識よりも実際に現場で体験した情報の方が活きます。論説問題は突っ込んだところまで聞かれることも多いため、参考書で広く浅く知り、現場で深く知っていければ効率よく点数を取ることができます。

機械制御

問題は計算問題しかほぼでません。論説が出るのは稀なので対策は不要です。
計算問題は直流機・変圧器・誘導機・同期機から2問、パワエレから1問、自動制御から1問出題されます。4問中2問解くことになりますので解ける分野は最低2つ以上は必要です。その中でもパワエレはその分野に精通してないと解けない問題が多いので、ほとんどの受験者は勉強していません。また、これは意見が割れますが直流機も出題頻度が少なく(過去30年で5回ほど)、近年はモータがインバータ制御が大半の為、時流も考えるとほとんどの出題されないかと思います。とはいえ計算自体は簡単な問題が多いので時間に余裕があれば勉強する程度でよいかと思います。つまり、機械制御分野は変圧器・誘導機・同期機・自動制御を中心に勉強していくことが重要です。これらを網羅することで1問分のリカバリーができますので難しい問題が出て詰むことも減るかと思います。

機械制御の重要なポイントを2点あげると以下の通りです。

  • 等価回路の作図とベクトルの計算(変圧器・誘導機・同期機)
  • ラプラス変換とブロック線図の計算(自動制御)

ベクトル計算は電力管理でも共通しているため、必ず抑えておきたいポイントとなります。等価回路は問題を解く際に必ず書く癖をつけましょう。
ラプラス変換に関しては大学で触れておられる方は取っ付きやすいですが、触れてない方はまずはラプラス変換の計算の練習から取り組むと良いかと思います。自動制御は計算さえ解ければ意味が多少理解してなくても解ける問題が多いので取り組むべきテーマだと思います。

毎日の勉強時間を確保する

どの資格試験でも共通していますが、毎日勉強することが一番記憶効率が良く知識を吸収することができます。私の場合は2次試験の1回目が落ちたときにこのままではだめだと考え、仕事の就業1時間前に計算問題を1時間ほど取り組み、退社後に計算問題の復習と論述問題の対策(ほぼ参考書を読むだけ)を30分~1時間程度取り組むことを1年弱継続して行いました。なんでも朝に計算問題を解くことが学習効率が高いと聞いた覚えがあるからです。それでも毎日最大2時間の確保がやっとでした。共働きで子供の迎えや食事、寝かせつけまで全て一人でやっていたため、特に夜の時間確保が難しい状況だったからです。夜勉強できない日は無理せず次の日の朝にまとめて実施したり、お昼に少し勉強するなど、柔軟に対応しつつ毎日の勉強は忘れないことを大切にしていきました。夜睡眠時間を削って勉強は負のループなので厳禁です。休日も平日と変わらない勉強時間としていたので余った時間でリフレッシュはしっかりできていたかと思います。

記録はつけていないですが、2種2次のみの勉強時間でおそらく400時間ほどかかっています。これを休日だけ頑張って勉強するとなるとさらに時間はかかりますし休みに勉強を長時間するのは正直しんどいと思います。社会人なら朝型人間の実行と毎日欠かさず勉強をして無理なく効率よく知識を吸収していくのが賢明です。

使用した参考書

戦術で覚える!電験2種二次計算問題

[rakuten id="book:16271992" kw="戦術で覚える!電験2種二次計算問題 野村浩司電験)"]

 ※楽天のリンクが在庫切れのため電子書籍のリンクとなっていること、ご容赦ください。

この参考書は電験2種の勉強の中で一番使いました。2年間の2次試験の勉強をした中で3週~4週はしたかと思います。計算問題はほとんどはこの参考書で体系的に吸収できますが、同期機の問題が少ない点が少しネックです。

電験二種計算の攻略

[rakuten id=[rakuten id="book:16952078" kw="電験二種計算の攻略 菅原秀雄"]

たまたま会社の対策講座の際に頂いた参考書ですが、こちらのほうが歯応えがある問題が多めです。同期機の問題もある程度収録されているので、「戦術で覚える!電験2種二次計算問題」が一通りできるようになった後に補完として1週しました。重複している点も多いため、復習にもちょうどよかったです。

電験2種二次試験標準解答集

[rakuten id="book:20383825" kw="2021年版 電験2種二次試験標準解答集 電気書院"]

試験の2カ月前から解き始めました。2次試験のみ10年分収録されているため、他の過去問より圧倒的に使いやすかったです。

これだけ電力・管理 論説編

[rakuten id="book:20480017" kw="これだけ電力・管理 -論説編ー 改訂新版 (電験2種二次試験これだけシリーズ) 梶川拓也"]

 ※リンクは改訂新版です。当時の私は改訂新版前を使用しています。

論説対策はこの参考書を流し読みして後は過去問と現場経験を頼りにしました。最近は「電気技術者の基本知識」シリーズなんかも出版されているので時間がある方はそちらもおすすめします。(電験2種レベルであれば全て買う必要はなく、「これだけ~」を1冊購入して、余裕があれば「これも~」、「これも×2~」と時間と余裕を見て購入することをお勧めします。なお、電験一種受験も見据える場合は3冊買いをお勧めします。)

[rakuten id="book:13739110" kw="これだけは知っておきたい電気技術者の基本知識 電験第1・2種ならびに技術士受験者必携! 大島輝夫"]
[rakuten id="book:15594976" kw="これも知っておきたい電気技術者の基本知識 大島輝夫"]
[rakuten id="book:17115222" kw="これも×2知っておきたい 電気技術者の基本知識 大嶋輝夫"]

検電器による検電作業の重要性を考える

間違いによる感電事故を防ぐために

建設工事や整備作業をする際に電路の無電圧を確認することは感電事故を防ぐために対象の電路には必ず実施しなければなりません。

しかし感電事故は毎年絶えず起きています。
作業者の確認の怠りと手順ミスによる重なりが起きるからですね。

本記事では、そのような感電事故を防ぐための最後の砦といえる検電器に着目し、検電器による検電作業の重要性に着目してみました。

無電圧確認をする手段を整理

電路の充電状態を確認するときは様々な確認方法があるかと思います。
以下に例を挙げます。

  • 盤面の電圧計電流計を見る
  • 盤面の表示ランプを確認する
  • 開閉器の開閉状態を確認する
  • テスターを使い測定する
  • 検電器で確認する
  • 1次側配線の有無を確認する
  • 負荷先の運転状態を確認する
  • 図面上で確認する

その手段が正しいかを確認する

例を挙げた作業に対して抜け目があるかを簡単に確認します。

・盤面の電圧計電流計を見る
 → 計器や変成器が壊れている
・盤面の表示ランプを確認する
 → 球切れ
・開閉器の開閉状態を確認する
 → 正しく切れていない
・テスターを使い測定する
 → テスターが壊れている、測定箇所のミス、レンジのミス
・検電器で確認する
 → 検電器が壊れている
・1次側配線の有無を確認する
 → 違うルートから回りこんでくる可能性
・負荷先の運転状態を確認する
 → 人為的に誰かが投入する可能性
・図面上で確認する
 → 図面の製図ミス

何か確認をするということには必ず"裏目"がありますね。本人がいくら単一の確認作業をしても100%感電防止とは限りません。

複数の確認工程を組み合わせる

感電事故は一発ミスをするだけで即死亡に繋がる上に充電状態は目には見えないので厄介です。
何事も厄介なことには複数の攻略法で攻めるのが効果的ですね。
無電圧の確認もただ検電器を使って確認するのだけではなく、複数の確認工程を組み合わせることが重要です。

例えば高圧受電盤の整備前は一号柱のPASを切りますが、検電器で受電盤内部の無電圧を確認する前に盤面の電圧計で0Vを確認することは、前述で述べた裏目が万が一発生した時の回避として有効な手段となります。更に電圧計より前にPASの切表示位置をその目で確認することで精度は増しますね。

無電圧確認の順番は外から中へ

検電器を使うということは正しく回路が切れていないときに点灯表示をしますが、無電圧確認工程上検電器を使う作業は最後になるかと思います。なぜ最後かというと検電器の検電作業は一番充電部に近いからですね。検電器での検電作業も正しく保護具を着用し、正しい使用方法でないと感電事故を招きます。わざわざ危険な作業から無電圧確認をする意味はありません。

上記より、無電圧確認はまずは机上(手順書や図面)での状態確認、開閉器の状態確認、計器類の確認等、充電部から遠い安全な箇所から外堀を埋めた後の総仕上げで検電器を使うことがベストだと考えます。何か間違ったことがあれば検電器を使用する前に異常に気付けるため、感電事故を防ぎつつ安全に対処できます。

検電器は無電圧確認の成果をまとめること

上述より、検電器は無電圧確認の最後の砦だということになります。
例え簡単な低圧回路を検電器で確認することでも

  • それまでやってきた確認事項の総仕上げ
  • 一番電路に近い点での確認であり、確度が高い無電圧情報を得られる
  • 無電圧確認の最後の保険だということ

を意味するので、検電器での無電圧確認を怠ることはあってはならないと考えます。

検電器を正常に扱うために

検電器が正常か確認するためには以下の条件が必要です。

  • 検電器の電池残量の確認
  • 検電器の動作確認

検電器にはテストボタンがあり、ボタンを押すことでランプと音が発信されますが、あくまでテストボタンは電池残量を確認する手段であって充電箇所に当てて動作するとは限らないという点に注意が必要です。

動作確認は低圧の場合最もお手軽な方法としてコンセントの電圧相(穴の小さいほう)に当てて動作確認することが最もベターだと思います。
高圧以上の検電器の場合は労働安全衛生規則第351条より6カ月に1回の定期自主検査時に動作確認を行います。試験電圧は一般的に使用電圧の2倍になります。最も、使用直前には検電器チェッカーや縮ませてコンセントで確認することも重要であると考えます。

リンクが閉ざされた電験の古い過去問の解答を手に入れる

公式ホームページの過去問公開状況

電験の過去問は公式ホームページで公開されており、2009年~最新までの過去問と解答はいつでも見られる状態になっています。

しかし理由は分かりませんが2008年度以前の過去問は公開されていません。
過去問をひたすら解きたい方には少し物足りないですよね。
特に電験一種、二種の2次試験は公式の標準解答が載っていますので、試験前の演習や採点側の性格を知る上でも参考になるかと思います。

2007(H19)~2008(H20)年度なら隠されたリンクが残っている

そこで、本当に2008年度以前の過去問が公式にないか調べたところ、ウェブアーカイブ上でキャッシュが残っていました。
中身を見たら、2007(H19)~2008(H20)年度についてはリンク切れをおこさずに正常に見られることが確認できました。

しかし、問題のコンテンツは存在せず解答のみとなります。

正直、解答だけでは役に立つのか分からず、微妙な記事となりましたね・・・

古い過去問を入手するためには

知人の伝手がなければ素直にオークションや古本屋を巡るしかなさそうですね。