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電験2種の勉強例とコツ

電験2種の特徴

電験2種は1次試験と2次試験があります。1次試験は4科目(理論・電力・機械・法規)をマークシートによる答案で解きます。3年以内に4科目を合格すれば突破となり、突破した年とその翌年の2回が2次試験のチャンスとなります。2次試験は2科目(電力管理・機械制御)を筆記による答案となり、難易度はかなり上がります。計算力が特に問われ、3種レベルの問題を確実にこなせる力が必要となります。そのため、よほど地頭の良い方ではない限りは3種が受かってから受験されることを勧めます。

電験2種合格への戦略について

私自身は2017年度から電験2種を受験し、2018年度、2019年度と2回2次試験に挑みました。そして無事に最後のチャンスを掴み電験2種は合格できました。2018年度も受けた際はあと1問のところで合格を逃し悔しい思いを経験したことがあったので、合格通知を見たときはかなり嬉しかったことを覚えています。まぐれかもしれませんが、私が合格までどのように勉強してきたかの一例を紹介することで他の人の役に立てれば幸いです。

1次試験の勉強

1次試験については難易度は3種と同等かそれ以下の難易度なので、3種の合格者は過去問をこなせば3年以内には突破できるかと思います。理論科目で微積要素や虚数の考えが多少深く入ってきますので、苦手な方は2種理論の参考書を買ってもよいかもしれません。細かい点気になったところは3種受験の際に用いた完全マスター4科目で補完すれば良いかと思います。

2次試験の勉強

ここからが本番になります。1次試験を終えてから初めて2次試験の勉強をするようでは絶対に間に合いません。よって1次試験の受験前から計画的に勉強していくことが大切です。大事なポイントを分けて述べていきます。

計算力が何より大切

2次試験の問題の多くは計算問題が主流です。年度によってばらつきはありますが、基本的に電力管理からは6問中3問(内選択4問回答)、機械制御は4問中4問(内選択2問回答)は計算問題です。つまり、計算問題さえしっかり解ければ合格に近づくこととなります。ではその計算力を身に着けるためにはどうすればいいかというと、問題をひたすら演習することが重要です。(センター数学で例えると青チャートみたいなところ)最初は解けなくても問題に慣れてくることで、自ずと解法が見えてきます。ただし、解法がわかっても計算を確実に解く正確性も重要です。ただ読むだけでなく、しっかり紙に書き起こして自分がどこで間違いがあるのか自己チェックをしつつ解法を身に着けていくことが良いかと思います。

出題傾向を捉える

電力管理

問題は計算問題と論説問題で半々です。その中でも計算問題は送配電系統の問題を中心に出題される傾向にあります。重要なポイントを2点あげると以下の通りです。

  • パーセントインピーダンスを用いた短絡計算
  • ベクトル図を用いた電圧降下の計算

上記は毎年必ずと言っていいほど出題され広い範囲で活用されるので、意識して問題に取り組むと良いです。特にパーセントインピーダンスの計算に関しては実務でも役に立つので演習を繰り返して身に付けておくのがベストです。

そして、上記が完璧でも電力管理は範囲が広く満遍なく出題されるため、演習を解いて知らない問題を減らすことが大切かと思います。しかし特異な問題もあるため、本番に難解な計算問題が出てきてしまったときは諦めて論説問題を解きましょう。

論説問題は満点は難しいですが、知っていれば半分程度は解ける問題が多いです。参考書を読むことも大切ですが、個人的には普段の仕事をしっかり根本から理解することが大切だと思っています。特に電験2種を目指す方のほとんどが電力系の設備管理に携わって仕事をされているかと思いますので例を出して説明します。油入変圧器のガス分析は定期的に行っているかと思いますが、ガス分析した結果にアセチレンガスが多いと寿命が近くNG判定を受けます。ではなぜアセチレンガスが多いとNGなのか、なぜアセチレンガスが発生してしまったのか、そういったなぜなぜの考えを普段から持って仕事に取組み、根本的な理解に努めることが仕事の上達に加えて論説問題の得点の鍵となります。結局、「百聞は一見に如かず」、参考書の文書で知った知識よりも実際に現場で体験した情報の方が活きます。論説問題は突っ込んだところまで聞かれることも多いため、参考書で広く浅く知り、現場で深く知っていければ効率よく点数を取ることができます。

機械制御

問題は計算問題しかほぼでません。論説が出るのは稀なので対策は不要です。
計算問題は直流機・変圧器・誘導機・同期機から2問、パワエレから1問、自動制御から1問出題されます。4問中2問解くことになりますので解ける分野は最低2つ以上は必要です。その中でもパワエレはその分野に精通してないと解けない問題が多いので、ほとんどの受験者は勉強していません。また、これは意見が割れますが直流機も出題頻度が少なく(過去30年で5回ほど)、近年はモータがインバータ制御が大半の為、時流も考えるとほとんどの出題されないかと思います。とはいえ計算自体は簡単な問題が多いので時間に余裕があれば勉強する程度でよいかと思います。つまり、機械制御分野は変圧器・誘導機・同期機・自動制御を中心に勉強していくことが重要です。これらを網羅することで1問分のリカバリーができますので難しい問題が出て詰むことも減るかと思います。

機械制御の重要なポイントを2点あげると以下の通りです。

  • 等価回路の作図とベクトルの計算(変圧器・誘導機・同期機)
  • ラプラス変換とブロック線図の計算(自動制御)

ベクトル計算は電力管理でも共通しているため、必ず抑えておきたいポイントとなります。等価回路は問題を解く際に必ず書く癖をつけましょう。
ラプラス変換に関しては大学で触れておられる方は取っ付きやすいですが、触れてない方はまずはラプラス変換の計算の練習から取り組むと良いかと思います。自動制御は計算さえ解ければ意味が多少理解してなくても解ける問題が多いので取り組むべきテーマだと思います。

毎日の勉強時間を確保する

どの資格試験でも共通していますが、毎日勉強することが一番記憶効率が良く知識を吸収することができます。私の場合は2次試験の1回目が落ちたときにこのままではだめだと考え、仕事の就業1時間前に計算問題を1時間ほど取り組み、退社後に計算問題の復習と論述問題の対策(ほぼ参考書を読むだけ)を30分~1時間程度取り組むことを1年弱継続して行いました。なんでも朝に計算問題を解くことが学習効率が高いと聞いた覚えがあるからです。それでも毎日最大2時間の確保がやっとでした。共働きで子供の迎えや食事、寝かせつけまで全て一人でやっていたため、特に夜の時間確保が難しい状況だったからです。夜勉強できない日は無理せず次の日の朝にまとめて実施したり、お昼に少し勉強するなど、柔軟に対応しつつ毎日の勉強は忘れないことを大切にしていきました。夜睡眠時間を削って勉強は負のループなので厳禁です。休日も平日と変わらない勉強時間としていたので余った時間でリフレッシュはしっかりできていたかと思います。

記録はつけていないですが、2種2次のみの勉強時間でおそらく400時間ほどかかっています。これを休日だけ頑張って勉強するとなるとさらに時間はかかりますし休みに勉強を長時間するのは正直しんどいと思います。社会人なら朝型人間の実行と毎日欠かさず勉強をして無理なく効率よく知識を吸収していくのが賢明です。

使用した参考書

戦術で覚える!電験2種二次計算問題

[rakuten id="book:16271992" kw="戦術で覚える!電験2種二次計算問題 野村浩司電験)"]

 ※楽天のリンクが在庫切れのため電子書籍のリンクとなっていること、ご容赦ください。

この参考書は電験2種の勉強の中で一番使いました。2年間の2次試験の勉強をした中で3週~4週はしたかと思います。計算問題はほとんどはこの参考書で体系的に吸収できますが、同期機の問題が少ない点が少しネックです。

電験二種計算の攻略

[rakuten id=[rakuten id="book:16952078" kw="電験二種計算の攻略 菅原秀雄"]

たまたま会社の対策講座の際に頂いた参考書ですが、こちらのほうが歯応えがある問題が多めです。同期機の問題もある程度収録されているので、「戦術で覚える!電験2種二次計算問題」が一通りできるようになった後に補完として1週しました。重複している点も多いため、復習にもちょうどよかったです。

電験2種二次試験標準解答集

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試験の2カ月前から解き始めました。2次試験のみ10年分収録されているため、他の過去問より圧倒的に使いやすかったです。

これだけ電力・管理 論説編

[rakuten id="book:20480017" kw="これだけ電力・管理 -論説編ー 改訂新版 (電験2種二次試験これだけシリーズ) 梶川拓也"]

 ※リンクは改訂新版です。当時の私は改訂新版前を使用しています。

論説対策はこの参考書を流し読みして後は過去問と現場経験を頼りにしました。最近は「電気技術者の基本知識」シリーズなんかも出版されているので時間がある方はそちらもおすすめします。(電験2種レベルであれば全て買う必要はなく、「これだけ~」を1冊購入して、余裕があれば「これも~」、「これも×2~」と時間と余裕を見て購入することをお勧めします。なお、電験一種受験も見据える場合は3冊買いをお勧めします。)

[rakuten id="book:13739110" kw="これだけは知っておきたい電気技術者の基本知識 電験第1・2種ならびに技術士受験者必携! 大島輝夫"]
[rakuten id="book:15594976" kw="これも知っておきたい電気技術者の基本知識 大島輝夫"]
[rakuten id="book:17115222" kw="これも×2知っておきたい 電気技術者の基本知識 大嶋輝夫"]