電気主任のお仕事

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検電器による検電作業の重要性を考える

間違いによる感電事故を防ぐために

建設工事や整備作業をする際に電路の無電圧を確認することは感電事故を防ぐために対象の電路には必ず実施しなければなりません。

しかし感電事故は毎年絶えず起きています。
作業者の確認の怠りと手順ミスによる重なりが起きるからですね。

本記事では、そのような感電事故を防ぐための最後の砦といえる検電器に着目し、検電器による検電作業の重要性に着目してみました。

無電圧確認をする手段を整理

電路の充電状態を確認するときは様々な確認方法があるかと思います。
以下に例を挙げます。

  • 盤面の電圧計電流計を見る
  • 盤面の表示ランプを確認する
  • 開閉器の開閉状態を確認する
  • テスターを使い測定する
  • 検電器で確認する
  • 1次側配線の有無を確認する
  • 負荷先の運転状態を確認する
  • 図面上で確認する

その手段が正しいかを確認する

例を挙げた作業に対して抜け目があるかを簡単に確認します。

・盤面の電圧計電流計を見る
 → 計器や変成器が壊れている
・盤面の表示ランプを確認する
 → 球切れ
・開閉器の開閉状態を確認する
 → 正しく切れていない
・テスターを使い測定する
 → テスターが壊れている、測定箇所のミス、レンジのミス
・検電器で確認する
 → 検電器が壊れている
・1次側配線の有無を確認する
 → 違うルートから回りこんでくる可能性
・負荷先の運転状態を確認する
 → 人為的に誰かが投入する可能性
・図面上で確認する
 → 図面の製図ミス

何か確認をするということには必ず"裏目"がありますね。本人がいくら単一の確認作業をしても100%感電防止とは限りません。

複数の確認工程を組み合わせる

感電事故は一発ミスをするだけで即死亡に繋がる上に充電状態は目には見えないので厄介です。
何事も厄介なことには複数の攻略法で攻めるのが効果的ですね。
無電圧の確認もただ検電器を使って確認するのだけではなく、複数の確認工程を組み合わせることが重要です。

例えば高圧受電盤の整備前は一号柱のPASを切りますが、検電器で受電盤内部の無電圧を確認する前に盤面の電圧計で0Vを確認することは、前述で述べた裏目が万が一発生した時の回避として有効な手段となります。更に電圧計より前にPASの切表示位置をその目で確認することで精度は増しますね。

無電圧確認の順番は外から中へ

検電器を使うということは正しく回路が切れていないときに点灯表示をしますが、無電圧確認工程上検電器を使う作業は最後になるかと思います。なぜ最後かというと検電器の検電作業は一番充電部に近いからですね。検電器での検電作業も正しく保護具を着用し、正しい使用方法でないと感電事故を招きます。わざわざ危険な作業から無電圧確認をする意味はありません。

上記より、無電圧確認はまずは机上(手順書や図面)での状態確認、開閉器の状態確認、計器類の確認等、充電部から遠い安全な箇所から外堀を埋めた後の総仕上げで検電器を使うことがベストだと考えます。何か間違ったことがあれば検電器を使用する前に異常に気付けるため、感電事故を防ぎつつ安全に対処できます。

検電器は無電圧確認の成果をまとめること

上述より、検電器は無電圧確認の最後の砦だということになります。
例え簡単な低圧回路を検電器で確認することでも

  • それまでやってきた確認事項の総仕上げ
  • 一番電路に近い点での確認であり、確度が高い無電圧情報を得られる
  • 無電圧確認の最後の保険だということ

を意味するので、検電器での無電圧確認を怠ることはあってはならないと考えます。

検電器を正常に扱うために

検電器が正常か確認するためには以下の条件が必要です。

  • 検電器の電池残量の確認
  • 検電器の動作確認

検電器にはテストボタンがあり、ボタンを押すことでランプと音が発信されますが、あくまでテストボタンは電池残量を確認する手段であって充電箇所に当てて動作するとは限らないという点に注意が必要です。

動作確認は低圧の場合最もお手軽な方法としてコンセントの電圧相(穴の小さいほう)に当てて動作確認することが最もベターだと思います。
高圧以上の検電器の場合は労働安全衛生規則第351条より6カ月に1回の定期自主検査時に動作確認を行います。試験電圧は一般的に使用電圧の2倍になります。最も、使用直前には検電器チェッカーや縮ませてコンセントで確認することも重要であると考えます。