去年電験2種を合格した勢いで電験1種の受験、見事に1発合格しました。
電験2種を受かったときの勉強法についてはこちらをご参照ください。
きっかけ
昨年電験2種を合格した勢いでどこまで自分の力を試せるのか気になり、勢いそのままに1種受験を申込しました。正直、電験1種を取得しても275kV、500kVに仕事上携わることは無いのですが、個人的には以下の野望を持って取得を目指しました。
- 社内での自分の意見を通しやすくするため
- 電気設備を新設・更新する際の技術検討時に苦労しないようにするため
要は、理論武装で仕事を楽にしようってことです。
1次試験
電験2種の合格後にそのままの勢いで電験1種の過去問を購入し勉強を始めました。2種の勉強とやることは変わらないので期間を空けずに勉強に取り組んだ方が絶対にいいですよね。1次試験に関しては理論科目のみ各定理の成り立ちを復習し、その後1次試験1カ月前にひたすら過去問の勉強をしてました。1次試験は選択式なので答えがある程度導けます。また、2次試験の論説対策をしていればカバーできる範囲が多いので2種同様過去問で十分かと思います。(そもそも1種の参考書自体ほとんど出版されていないです)
定理の成り立ちですが、特に電磁気学が苦手だったので重点的にネットと過去問で補完しました。本当は専用の参考書があればいいのですが、手ごろなものが見当たらず、、、、こういうときに大学で使用していた教科書(全て後輩に譲渡)があればと悔いていました。大学時代にファインマン物理学で勉強していた記憶がありますので、もし手元にあったらそれを使って復習していたかと思います。
コロナ禍の中、受験自体できるかどうか怪しい状況でしたが、上司の了承も得て会場まで受けに行けました。今年は例年と比べて易化した影響もあり、4科目1発で合格できました。令和2年度は1次試験合格率が50%近くにインフレしていることからもわかる通り、極端な当たり年だったと思います。
2次試験
2次試験対策は2種合格後から継続して計算問題を中心に取り組んでいました。
2種から1種にステップアップするにあたり何が足りないのか、過去問を解いていく中で自分なりに問題を分析する中で以下2点が全くの知識不足でした。
対称座標法
対称座標法は特化した参考書を探しました。
[rakuten id="book:19058577" kw="図説 %Z法と対称座標法の入門 柴崎 誠"]
「図説 %Z法と対称座標法の入門」は対称座標法の考え方が丁寧に解説されている良書でした。ネットで対称座標法を調べても行列式と等価回路図が延々と続いているだけなので、本質的に何の役に立つのか、そもそも何が目的なのか分かりづらいかと思います。この本はそのギャップを埋めてくれたので個人的には大変助かりました。具体的に学べて良かった点は以下の通りです。
- 要素を零相、正相、逆相に3分解する理由
- 発電機の基本式の成り立ち
- 対称座標法による保護リレーの整定値計算
これから1種の勉強をするけど対称座標法が全くの素人という方には強くお勧めできる参考書です。他の対称座標法の参考書と比較して入手性が大変良く、発刊されたのも2018年と情報が新しいのも素晴らしいです。
現代制御
現代制御は逆にネットに落ちている大学のレジュメを参考に過去問のパターンを覚えて対処しました。googleなどで関連ワード検索して上の方に出てきたpdfを漁るだけです。制御工学は古典制御もそうですが、電験の問題は理屈が分かってなくても計算ができれば解ける問題が多いので、合格するだけなら解き方を覚えることが大切です。個人的には未だに計算を解いた先に現物でどのように寄与しているのかあまり理解していませんので合格後の一つの課題としています。
過去問
選択肢がほとんどないので紹介するほどではないですが、過去問は以下の2冊を中心に勉強しました。
電験一種は過去問そのままの問題はほとんど出ないので、類題の予測と出題の傾向を捉えながら勉強しました。時間があるときにモチベがあればまとめ記事でも作ってみます。
当日の試験について
前年度の2種受験と比較して仕事で絶対に必要な資格ではないので、プレッシャーが無い中の受験であり、調子は絶好調でした。ペットボトルコーヒーと半額セールで買った賞味期限ギリギリの菓子パンとおにぎりを鞄に詰めていざ出発、電車に揺られて1時間半で会場です。
電験1種となると周囲が高僧な人種ばかりで会場内は比較的落ち着いており、コロナ対策で会場も広く使えたので快適に受験できました。選択問題は以下の通り選択しました。
どちらの科目も時間ギリギリに全て解き終えた記憶があります。結局強化して取り組んだ対称座標法と現代制御は出ませんでしたが、「備えあれば患いなし」、結果オーライです。
試験を終えた後、変圧器の効率計算の際に鉄損計算のg0V2の2条を忘れていたことに気付き終わったことを確信、答え合わせもせずにそのまま忘れていた頃に郵便ポストを空けたらでかい封筒(合格通知書)が入っていて腰を抜かしました。
合格理由の分析をすると、令和2年度は1次試験が簡単だったせいか2次試験の受験者も例年と比べて多かったので、合格率は例年並みですがボーダーラインが下がったことが寄与しているのではないかと考えました。また、問題自体も例年と比べて2種レベルの知識でも解ける問題が多かったように感じます。要は運を味方にできたってことですね。
総括
令和2年度電験一種は例年と比べて易しい問題が多かったので、中途半端な私がたまたま一発合格することができました。過去問を勉強していても半分程度しか解けない年が多かったので、運を味方にできたことが一番大きいです。また、個人的に褒めたいのは2種合格後も継続して毎日勉強していたことが良かったかと思います。ブランクを空けずに受験できたのも良かったのもそうですが、詰め込んで滅茶苦茶勉強してもなかなか受かる資格ではないですし、忘却曲線から分かるようにコツコツ頑張ることがやはり一番勉強効率が良く最短で受かるための重要な要素です。(この努力を大学受験の時に知ってればもっといい人生を送れたのかもしれませんが)
20代も終わりに差し掛かる中、今後も電気の勉強継続はもちろん仕事面でもより一層磨きをかけていきたいですね。